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「ゴースト・イン・ザ・シェル」─ハリウッド版攻殻機動隊

作品情報

監督:Rupert Sanders

評価

☆☆(最高評価は☆5つ)

※以下は作品のネタバレを含むので、注意してください。

ネタバレ感想

 ハリウッド版の攻殻機動隊、「ゴースト・イン・ザ・シェル」について感想を書いていきます。

 攻殻機動隊は、原作も好きなのですが、やっぱり好きなのはアニメ版一期ですね。義体・電脳といった未来のテクノロジーが出てくるとこも好きなのですが、何よりも良いのがキャラクターとストーリー。僕が一番好きなアニメ作品です。

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 そんな攻殻機動隊の実写化ということで、多くの不安感を抱きながら本作を見ましたが、結構微妙な作品でしたね……。アニメ版の攻殻機動隊マトリックスブレードランナーを足して10で割ったような作品だと感じました。

ビジュアルについて

 街並みの風景などは、ブレードランナーを思い出させるオリエンタルな未来の光景が広がっていました。ただ、昨年末見たブレードランナー2049と比較してしまうと(比較するのが悪いのですが)、本作ならではのオリジナリティにあふれた光景、というものがあまり広がっていなかったように感じてしまって、残念でしたね。

 義体等々の機械のビジュアルも完成されていてよかったです。特に、蜘蛛型歩行戦車のデザインは、殺意まんまんで、やっぱり戦いの場に出てくるような兵器はこんな感じじゃなきゃと、テンションが上がったものです。

アクションについて

 アクション自体も、ハリウッド映画ということを考えれば、可もなく不可もなくといった感じです。どうしてもアニメの攻殻機動隊を思い出すと多少物足りなくなりますが、実写と言うことを考えればこんなものだろうという気がしました。

 壁を蹴って跳ぶシーンや、若干スローモーションになるシーン、芸者ロボットに潜入した少佐が敵に飲み込まれていくシーンは、どことなくマトリックスを想起させましたね。

キャラクターについて

 原作やアニメ版の攻殻機動隊とキャラクター設定が違うのは良いのですが、それはおいておいてもキャラクターの掘り下げ少なすぎるだろと思いましたね。

 何よりも気になったのが荒巻です。ご視聴の方は皆感じたと思いますが、周りが英語で話しているのに一人だけ日本語で話しているのが違和感ありまくりでした。別に、同時通訳されているという設定なら良いのですが、それにしたって同時通訳するデバイスについて、作品中で触れる必要があったように思えます。

 また、作品中で日本語を話しているのが荒巻だけなので、ここはそもそもどこの国なんだっていうのが非常に謎でしたね。それについて特に説明もありませんでしたし。

 さらに、主人公の少佐については、もともと攻殻機動隊の少佐を思い浮かべながら見たので、どことなくキャラクターとして魅力的ではないな、と感じざるを得ませんでした。こんな不安定な人物に、9課のトップを任せていて良いのか、とも。

 加えて言うなら、ラストシーンで斎藤がスナイプするシーンが初めて出てましたが、伏線もなにもなかったので、初見の人はびっくりしたでしょうね。

 全体的に、攻殻機動隊の面々と比較すると駄目ですが、普通の作品の登場人物として見たら普通かなという感じでしたね。

ストーリーについて

 今作で一番良くなかったのはストーリーです。

 本作のテーマは、体も記憶も失ったとき、人は何をもって自らを定義するのかということだったように思います。身体を失った少佐が、記憶すら奪われ、思い悩み苦しむことが、ストーリーの中核になっていたように思います。

 そして、作品としてのメッセージは、最後の少佐の独白に現れていました。

人は記憶に自分の証を求めるけれど何をするかが人を決める。私の中で生き残ったゴーストが人間性の大切さを教えてくれた。私は自分が何者で何をすべきか知っている。

 このセリフを聞いた時、これを示唆するシーンあったか?と疑問に思いました。

 第1文について言えば、本作品では少佐は自分の記憶を求め続けていていたように思います。わざわざ実家に言ったりして。そして、何をするかが人を決めるのだと納得するシーンはなかったはずです。

 第2文について言えば、少佐のゴーストって何かしましたっけ?ゴーストが人間性の大切さを教えてくれたようなシーンってありましたっけ?

 最後の一文では、「自分が何者」かを「知っている」ということを重要視していますが、それって最初の記憶よりも行動が大事だということとつながらないように思えます。

 これらのことから、このテーマ自体がぽっと出てきたような気がしてしまうんですよね。

 また、特に大きな必要性もないのに芸者ロボットに潜入して少佐が返り討ちにあったり、クゼに遭うためにバトーや仲間と施設に突入するシーンで何故か少佐が単独行動をし始めたりするなど、登場人物が非合理的な行動をするシーンもちょこちょこ目立ちました。

 もうちょっとストーリーを頑張ってくれれば良かったんですけれどね。

まとめ

 攻殻機動隊の実写化だという視点で見ると、本作は非常に良くない作品で、同じ時間でアニメ版一期を何話か見直した方が良いくらいでした。

 ただ、攻殻機動隊を一度頭から外して見てみると、いわゆる普通の作品という感じでしたね。ただ、深いテーマを扱っているように見えてそこまで深みのある話ではなかったので、同じ普通の作品を見るにせよ、中途半端な本作よりも頭を使わずに見れるアクション作品を見た方が逆に面白かったでしょう。

 おそらく、今後見返すことはないであろう作品でした。