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本やら映画やらなんやらの感想置き場

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梅佳代「うめめ」

作品情報

うめめ

うめめ

 

 本書は、第32回木村伊兵衛写真賞を受賞した作品であり、梅佳代さんが撮影した日常の写真が収められたデビュー作です。現在は、13万部以上を売り上げており、写真集としては異例の売れ行きだそうです。*1

評価

☆☆☆☆(最高評価は☆5つ)

 

感想

 梅佳代さんが作った「うめめ」をこの間入手したので感想を書いていきます。梅佳代さんの写真は、いくつか有名なものを見たことがあったのですが、写真集を見るのは初めてでした。ということで、わくわくしながら表紙をめくろうとした瞬間に、まず、この表紙の写真から目が離せなくなりました(上記amazonの写真です)。

 なんだこの空気感。じゃがりこを落としてしまったこの子は、悔しがるでもなく、落としたじゃがりこを見るわけでもなく、中空を見ています。その表情もなんとも言えなくて、悲しんでいる訳でもなく、絶望している訳でもなく。ただ、空にある何かに魅せられたような表情を浮かべています。なんとも不思議な感じです。

 というか、そもそもどうしたらこういう状況になるというのか。じゃがりこが落ちた方向からすると、立っている途中に後ろ向きで倒れた、という感じなのでしょうね。何かに注目しすぎて、他のことがおざなりになってしまって後ろに倒れてしまったのでしょうか。少なくとも、じゃがりこに一瞥もくれていないところからすると、じゃがりこよりも大事な何かが、上の方にあったのでしょうね。

 という感想がふつふつと湧いてきて、なんだか良く分からないけどユーモラス、そんな印象を抱いて本書をめくったのでした。

 そして、表紙の裏をみて、さらにびっくり。謎の魚とそれに乗った人の絵が描いてあります。それ以外にも、良く分からない、謎のゆるい絵がたくさん描かれています。なんじゃこりゃ。

 そのゆるさとユーモラスさは、他の写真をみても同様でした。アイスを一生懸命食べている少年やら、小学生がペットボトルのごみ箱を覗いている写真やら、地下鉄の車内で寝そべっている人の写真やら、犬にまたがっている少女の写真やら。そして、捉えられる表情もまた良い。どの写真も、ほとんどカメラ写りなんか気にしない表情を写し取っています。この何を考えるか分からない表情が、どんな状況だったんだろうという想像を膨らませるんですよね。

 それ以外にも、犬がフンをしている写真を乗っけてたりとか、まさに梅佳代さんワールドが展開されているように思いました。まさに、何でもありな写真の数々が収められています。

 閑話休題。本記事を執筆する際に、他の人が書いた本書の感想を読み漁っていたのですが、その中でも良いな、と思ったのが以下の記事です。

うめめ Today’s Happening - わたしの価値観を変えた魔法の本 - シミルボン

 その中の一部を引用しますと、

この本の写真を見ていると、被写体を知人や風景に限ってしまうのは、なんとも視野の狭いことだと感じました。
レンズに映すのは時と世界のすべてなんだと思いました。

(中略)

この本は、わたしに新しい世界を教えてくれた魔法の扉であり、カメラに対する価値観を一変させた、魔法の杖のような本です。

うめめ Today’s Happening - わたしの価値観を変えた魔法の本 - シミルボン

 確かに、と思いました。何枚も何枚も写真を撮ってくると、なんとなく自分の撮りたいものが分かってきて、あれを撮るべきだ、これは撮ってはいけないなどと、僕が撮るものがなんとなく固定化されてきたような印象を自分で抱いていました。ただ、本書を読んでからは、良い感じで脱力するというか、何を撮ろうかと、ごちゃごちゃ色々と考える前に、写真を一枚でも撮ってしまおうと考えるようになりました。

 写真を色々と撮ってみて、段々と自分が撮りたいものが分からなくなった人にも、おすすめの作品です。少なくとも、くすっと笑える写真の数々が掲載されているというだけでも、お値段以上の価値はあるかなと思いました。

うめめ

うめめ

 
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