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ずっと真夜中でいいのに。「正しい偽りからの起床」レビュー

作品情報

正しい偽りからの起床(通常盤)

正しい偽りからの起床(通常盤)

レビュー

 ずっと真夜中でいいのに。(通称:ずとまよ)初のミニアルバムである、「正しい偽りからの起床」のレビューです。

 本作は、様々な方がアレンジをしているからか、多彩な曲ばかりでした。ずとまよはピアノが入る明るめの曲調が得意なバンドだと勝手に勘違いしていましたが、本作は色々な側面を発見できて良かったです。

 また、歌詞についても難解で解釈の余地が多分にあるものから、ストレートなものまで色々でしたね。

 おそらく、本作は幅広い曲調を試しているアルバムなのでしょう。だからこそ、ボーカルの歌唱力が光りますね。特に最後の「君がいて水になる」の歌声が白眉です。これから、ずとまよがどんな方向に向かって成長していくのかが楽しみになるアルバムです。

 以下、各曲のレビューに入ります。

秒針を噛む

 個人的に、一番ずとまよらしさが溢れているナンバーだと思います。初めて聞いた時の衝撃は凄かったです。

過去記事:
spaceplace.hatenablog.jp

ヒューマノイド

 割と繰り返しが多い曲で、ちょっと自分は嵌らなかった曲です。

過去記事:
spaceplace.hatenablog.jp

サターン

 本作は、今までの曲と違ってストレートな歌詞ですよね。例えば、

口下手な好きが欲しいの こなれないで

 という、「彼」に対するダイレクトな願いが込められています。

 個人的には、土星に自分を重ねているのがロマンチックで好きです。

少しだけ あなたの住む世界 回り回って 近づけた時は
震える声に耳すまして 気まずいくらいで返さないでよ
この距離だって乗り越えられるよ なんて強気じゃいられないよ

 こういう真っ直ぐな歌詞が、ACAねさんの真っ直ぐな声と合わさって、胸に深く訴えかけるんですよね。広い宇宙を想像させる歌詞から真っ直ぐと伝わる想い。壮大だけれど率直で、素敵な歌詞だと思います。

 そして、アコースティックギター中心の比較的シンプルな曲調が、これまたマッチしています。

 なお、ACAねさんが弾き語りしていました。

雲丹と栗

 エレクトロニックピアノや木琴などの楽器が、遊園地を想起させるような平和な曲調ですね。「雲丹と栗 牡蠣と梨 筍ご飯」という歌詞も、穏やかそのものの歌詞ですし。この曲は、「みんなのうた」で流れていても違和感がない雰囲気をしていますね。

 力強い歌い方だけでなく、こういう暖かくてぽかぽかするような歌い方も良いなあ。

脳裏上のクラッカー

 ACAねさんの歌の高音部が好きすぎる曲です。爽快。

過去記事:
spaceplace.hatenablog.jp

君がいて水になる

 本作の中で一番好きな曲です。シンセサイザーエレクトロニックピアノの組み合わせ、それと落ち着いているけれど抒情的なACAねさんの歌のコンビネーションがたまらないです。随所に入るムーディーなエレクトロピアノが素敵で、曲と合わせて自分で弾いてみたいですね。シンプルさを極めたようなベースもどっしりとした魅力に溢れています。この曲をバンドで演奏できたら楽しいだろうなあ。

 ACAねさんの歌い方も、ゆったりだけれど聞かせてくる声が本当に素晴らしいです。そしてサビの高音部の透明感。自分の好みど真ん中です。曲の時点で十分に魅力的で、なかなか歌詞が頭に入ってこないほどでした。

 さて、歌詞に目を向けると、歌声と同様透き通っているなと感じました。「君がいて水になる」「ただ力を抜けた光る方へ」「明かせない まだ分からない」といった言葉からは、自分の気持ちは分からないけれど、自然体で心の思うままに進んでいきたいなという願いが込められているように思います。平易な言葉だけれど様々に解釈できる歌詞が良いですね。

正しい偽りからの起床(初回限定盤)

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