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Eiko + Eriko「Glitter」(アルバム)レビュー:若さ溢れるアップテンポな1stアルバム

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 本作は、ピアノの連弾ユニットのEiko + Erikoの初のアルバムです。SpotifyAmazon Musicなどで配信されています。

 Eiko + Erikoは、2019年4月にデビューしたユニットです。ピアニストの鈴木瑛子さんと石倉江里子さんは、共に2018年にバークレー音楽大学を卒業しています。詳しい情報は、公式ホームページをご覧ください。

 なお、本作のドラマーは現在バークレー大学に留学中の山近 拓音さんです。

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打首獄門同好会「なつのうた」レビュー:既視感。

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本曲は、以下のアルバムに収録されています。

獄至十五

獄至十五

レビュー

 本曲が発表される約1年半前。僕の度肝を抜いた曲がありました。打首獄門同好会「布団の中から出たくない」という曲です。可愛らしいコウペンちゃんのアニメーション。「布団の中から出たくない」という素朴で共感できるタイトル。穏やかなイントロ。そこから繰り出される「さむい!!!さむい!!!さ!!!む!!!い!!!」というシャウト。あまりのギャップに笑いが止まりませんでした。

 打首獄門同好会の「なつのうた」を聞いて最初に感じたのは既視感でした。打首獄門同好会とコウペンちゃんとのコラボということで何となく想像していましたが、爽やかなイントロ後の「あつい!!!あつい!!!あ!!!つ!!!い!!!」というシャウトで、やっぱりこうくるかという気持ちしかしませんでした。途中、「さむい!!!さむい!!!さ!!!む!!!い!!!」とシャウトが入る部分は流石に予想できず吹き出しましたが、それ以外はまあ予想通りという感じの曲でした。

 何というか、「布団の中から出てこない」を繰り返し聞いたせいで、本曲はそこまで新鮮味はありませんでしたね。優しい歌詞、BGM、アニメーション共に、ゆったりと聞く分には申し分ないですし、これはこれで良い曲だと思います。ただ、自分としてはもうちょっとユニークな何かが欲しかったなあと思わざるを得ませんでした。

 癒しの曲という点では、良いんですけどね。この曲。ただ、インパクトや歌詞への共感度という点で、「布団の中から出たくない」を超えられない作品だったかな、とも思いました。

spaceplace.hatenablog.jp

Maison book girl「闇色の朝」レビュー:音楽だけでなくMVが¥¥gaaarrr^:~/:::作品。

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なお、本作は以下のシングルに収録されています。

レビュー

 本作は、曲だけでなくMVもたまらない作品でした。曲については、いつものMaison book girlらしく素晴らしかったです。曲を主導するギター。エレクトロニックなベース。機械的なドラム。透き通るようなボーカル。それらに紛れ込む音、音、音。まるで色々な楽器とかくれんぼをしているような不思議な気持ちになります。そして、暗くもないけれど明るくもない雰囲気が、何とも不思議な世界に私たちを連れて行ってくれます。そして突如音楽が断












蟲     




闇色の朝

Maison book girl



 本作は、PVもi39daaaafです。刹那003143uのaFterでPCが⚠⚠⚠⚠!!!となって$#!$!"#、suddenly@@..a:;@a穴の1113121顔、顔、顔。बुरा सपनाであるかのような[[^;/@@@は脳を破裂 _ _ 体験でした。

 こんな表現がerlaabtて良いのかと。面白いと思うと同時にਹੈਰਾਨੀ ਵਾਲੀでした。你太无聊了。ただただ感心し感動しきりでした。




蟲たちの電車が来る。

人 蟲  手         





手手蟲手虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲

目 目

目 目

目 目







      蟲  虫




 本作は、独特な音楽とセンスが爆発するアニメーションが融合した貴重な作品ですね。Maison book girl の次回作も楽しみです。

Eiko + Eriko「glitter」(曲)レビュー:音が色づき、煌く。

作品情報

ピアノの連弾ユニットのEiko + Erikoの初のオリジナル曲です。本作は、ドラマーに、山近拓音さんを迎えての楽曲です。

※2019/11/27追記 本曲は、「Spectral Polyhedral」から「glitter」と曲名変更されたようです。

Eiko + Erikoは、2019年4月にデビューしたユニットです*1。ピアニストの鈴木瑛子さんと石倉江里子さんは、共に2018年にバークレー音楽大学を卒業しています。詳しい情報は、公式ホームページをご覧ください。

ちなみに、本ユニットのツイッターこちら

レビュー

 本曲を最初に聞いて思ったのが、音がとてもキラキラしているなということです。四月は君の嘘という作品では、演奏がカラフルだという表現が出てきましたが、本曲はまさに色に満ち溢れた作品だと感じました。単に言葉で「カラフル」と書くよりも、よっぽど色鮮やかなこの曲。僕は共感覚を持っている訳ではありませんが、目の前に自由自在に変わる色の煌めきが感じられる気がします。

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 本作の変更前のSpectral Polyhedralというタイトルは、管見の限り公式訳が見つからず、いまいちどう訳すのが適切か分かりませんでした。ただ、この多彩な曲の印象からすると、「分光する多面体の」という意味になるのかなと思いました(形容詞が2つ重なっていますが、これは音の響きを重視したのかもしれません。)。そして、多面体であるからこそ、この曲も様々な側面を持っています。時に分かりやすく美しく。時に前衛的。時にゆったりと。時に好戦的に。

 曲名がglitterと変更され、煌めきと言う曲のイメージがわかりやすく伝わるようになりましたね。

 この曲、特に美しいなと感じたのが、高音担当のErikoさんが何度も繰り返し弾くメインメロディー。あまり馴染みのない音使いであるのに、とてもキラキラしています。そして、メロディーから、低音担当のEikoさんにスムーズに繋がる掛け合いの感じが、楽しいです。連弾だからこそ、お互いが呼応して繋がって行く感じが良いですね。

 この曲で特に前衛的だと思ったのがリズムです。本曲は、若々しい、かなり攻めたリズムの作曲してますよね。1:02~は、どこかにつまづいた時の不安定さが不意に訪れますし、1:32~は曲が壊れそうなくらいバラバラなリズムで構成されています。そんな風にリズムが複雑になろうとも、何事もなかったかのように、一糸乱れず演奏するのが清々しいです。

 リズムと言えば、本作はドラマーの山近拓音さんも素敵ですよね。細かく繊細で、高速だけれど欲しいところにピタッと始まるドラミング。さも当然かのように、複雑な曲に嵌っていくドラミング。山近拓音さんは、上原ひろみさんのドラムカバーの動画を見て、昔から若いのに凄く巧みなドラマーだと思っていましたが、本曲を聞いて見たら昔と次元の違うドラミングをしていると感じました。

 そんなドラマーがいる本作ですが、面白いなと思ったのが、ドラマーにピアノが合わせるというより、ピアノ二人のコンビネーションの上にドラミングが乗っかっているように感じたことです。普通は、リズム隊が曲のリズムを作って行くものかと思いますが、ピアニスト二人が強固に混ざりあった音色を奏でているのと、途中でドラムが抜けるシーンがあったりすることから、そういう印象を受けるのでしょう。初のオリジナル曲で、これだけのピアノのコンビネーションを見せるとは。これから、何年も何年も演奏を続けたら、この二人はどんな世界を見せてくれるのでしょうか。今からワクワクしますね。

 本作を聞いて、久しぶりに面白い曲を聞いたなと思いました。色々なところで聞いているつもりのピアノですが、まだまだピアノには可能性が広がっていると思わせてくれるような、素敵な曲でした。連弾は素敵だなと思わせてくれる、目の前がぱっと明るくなるような曲でした。Eiko + Erikoのこれからの可能性を暗示させるような、デビュー曲にふさわしい、新鮮で美しい曲でした。これからの二人の活躍に目が離せません。

*1:

ずっと真夜中でいいのに。「眩しいDNAだけ」レビュー

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レビュー

 ずっと真夜中でいいのに。(通称:ずとまよ)の「眩しいDNAだけ」のレビューです。

 本曲は、最初こそ大人しい感じですが、徐々に賑やかになっていって最後に一番盛り上がる感じが特徴的ですよね。

 本曲は珍しくラップから入りました。真夜中を思い来させるような、か細い囁き声。そして、歌声はピアノやギターなど様々な楽器を伴いながら、夜が明けるかのごとく、徐々に力強く、明るくなっていきます。このシティっぽい雰囲気がたまりません。

 そこから朝の光が差し込むようなサビ。相変わらずキャッチーで流石です。

犠牲にしたって本心だけ
誰もわからず乏しい罠
分類したって自尊心は もう
薄暗い朝に委ねるだけ

 このような歌詞の意味はよく分からなくても、メロディーや曲調だけで思わず口ずさんでしまうような魅力に溢れています。 

 少し跳んで2回目のサビ後について言えば、チェロの音(おそらく)が良い味出しています。落ち着いていて、懐古させるような音色。サビとサビの間で、すっと曲調を収めてくれています。

 そうやってちょっと溜めた後に、最後の転調で一気に賑やかになって突き抜ける感じが良いですね。スラップで刻んでいくベースもかっこいいです。そして最後のギターと高音の歌声のコンビネーション。言葉にならない歌をギターの歪みと共に伝えているような感じがして、言語化できないような高揚へと繋がります。

 本作の歌詞について言えば、その意味するところはよく分からなくても、孤独を肯定してくれるような優しさに満ちていると感じました。タイトルでいう「眩しいDNA」とは、Bメロの歌詞の「孤独が眩しすぎてるほどのDNA」を表しているのだと考えられます。孤独が「眩しい」というポジティブな言い回しや、その後に続く「誰も立てないほどの生き映え」という歌詞は、孤独を貫くこともまた良いことであると教えてくれているかのようです。

 その後、「まだ迷ってしまうけど 街灯がない道だけど」という歌詞からは、生き方に迷っている気持ちが現れているように思います。そして、サビの

シナリオ通りに暮らしてゆくなら 悩み方も何も知り得ずに頷くだけ ビリビリに破り始めるだけ

という部分からは、定型的な生き方を拒絶した「孤独な」生き方を選び取ったんだことを表している気がします。。そして最後のサビの「逸らせない光を選ぶだけ 今なら」という言葉は、「孤独が眩しすぎてるほどのDNA」が照らす輝かしい生き方をこれからも選び取っていくんだという決意が現れているように感じました。

 不思議と勇気が湧いて来る歌ですね。

正しい偽りからの起床(初回限定盤)

正しい偽りからの起床(初回限定盤)

BAND-MAID「Bubble」レビュー

作品情報

 

 本曲は、TVドラマ「パーフェスクトクライム」主題歌です。

レビュー

 昨年10月以来の待ちに待った新曲、「Bubble」のレビューです。

 本曲は、サビの部分を除けば重厚な印象を受ける曲ですね。ロックど真ん中って感じですね。そして、この重厚感の後のサビの疾走感がたまりませんね。サビの部分では、何度聞いても自然と体が動いてきます。

 本曲では、なんと言ってもAKANEさんのドラミングが素敵すぎますね。重厚な曲であればあるほど、ドラムの存在感が重要になってくると思いますが、そこは流石のAKANEさんの力強さと言った感じです。加えて、BメロとCメロのタムの音の数々が弾むようで楽しくて楽しくて。他にも、緩急自在のテンポ、アクセントの使い分けや、Bメロで1小節だけ入るハイハットなど、細かい部分も聞いていて楽しいです。

 細かいといえば、MISAさんのベースの刻み方も凄く細かくて。サビの部分の刻むベースも好きですが、最初の2小節の末尾ごとに繰り出されるバリエーション豊かなフレーズが安定感抜群かつ面白くて好きです。

 SAIKIさんについて言えば、歌い方が洋楽っぽくなっているような感じがしました。特に、最後のサビの前のあたり。そして、サビの部分はコーラスと交互に歌っているにも関わらず一向に薄れることのない存在感が、流石だなという感じでした。

 ギターについて言えば、今までの曲よりも小鳩さんのギターが効果的に使われていると思いました。それが、かなり重厚なロックサウンドに貢献しているなとも。ギターのパートそれぞれがしっかりとした役割を担っている感じを強く受けましたね。

 そして、本曲ではKANAMIさんの長めのパートが入っていて、そこも純粋に嬉しかったです。そこまでの早弾きではなく、ゆったりとしているものの聞かせる演奏。今まで聞いてきたロックのレジェンドを思い返させるようなサウンドで、ただただテンションが上がりますね。サビ以外の部分でも、KANAMIさんの演奏はなんでこんなにもワクワクさせてくれるのかと感嘆するほどでした。とりあえず、気が早いですが新しい曲でも早くKANAMIさんのギターが聞きたいなと思いしきりです。

ずっと真夜中でいいのに。「正しい偽りからの起床」レビュー

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正しい偽りからの起床(通常盤)

正しい偽りからの起床(通常盤)

レビュー

 ずっと真夜中でいいのに。(通称:ずとまよ)初のミニアルバムである、「正しい偽りからの起床」のレビューです。

 本作は、様々な方がアレンジをしているからか、多彩な曲ばかりでした。ずとまよはピアノが入る明るめの曲調が得意なバンドだと勝手に勘違いしていましたが、本作は色々な側面を発見できて良かったです。

 また、歌詞についても難解で解釈の余地が多分にあるものから、ストレートなものまで色々でしたね。

 おそらく、本作は幅広い曲調を試しているアルバムなのでしょう。だからこそ、ボーカルの歌唱力が光りますね。特に最後の「君がいて水になる」の歌声が白眉です。これから、ずとまよがどんな方向に向かって成長していくのかが楽しみになるアルバムです。

 以下、各曲のレビューに入ります。

秒針を噛む

 個人的に、一番ずとまよらしさが溢れているナンバーだと思います。初めて聞いた時の衝撃は凄かったです。

過去記事:
spaceplace.hatenablog.jp

ヒューマノイド

 割と繰り返しが多い曲で、ちょっと自分は嵌らなかった曲です。

過去記事:
spaceplace.hatenablog.jp

サターン

 本作は、今までの曲と違ってストレートな歌詞ですよね。例えば、

口下手な好きが欲しいの こなれないで

 という、「彼」に対するダイレクトな願いが込められています。

 個人的には、土星に自分を重ねているのがロマンチックで好きです。

少しだけ あなたの住む世界 回り回って 近づけた時は
震える声に耳すまして 気まずいくらいで返さないでよ
この距離だって乗り越えられるよ なんて強気じゃいられないよ

 こういう真っ直ぐな歌詞が、ACAねさんの真っ直ぐな声と合わさって、胸に深く訴えかけるんですよね。広い宇宙を想像させる歌詞から真っ直ぐと伝わる想い。壮大だけれど率直で、素敵な歌詞だと思います。

 そして、アコースティックギター中心の比較的シンプルな曲調が、これまたマッチしています。

 なお、ACAねさんが弾き語りしていました。

雲丹と栗

 エレクトロニックピアノや木琴などの楽器が、遊園地を想起させるような平和な曲調ですね。「雲丹と栗 牡蠣と梨 筍ご飯」という歌詞も、穏やかそのものの歌詞ですし。この曲は、「みんなのうた」で流れていても違和感がない雰囲気をしていますね。

 力強い歌い方だけでなく、こういう暖かくてぽかぽかするような歌い方も良いなあ。

脳裏上のクラッカー

 ACAねさんの歌の高音部が好きすぎる曲です。爽快。

過去記事:
spaceplace.hatenablog.jp

君がいて水になる

 本作の中で一番好きな曲です。シンセサイザーエレクトロニックピアノの組み合わせ、それと落ち着いているけれど抒情的なACAねさんの歌のコンビネーションがたまらないです。随所に入るムーディーなエレクトロピアノが素敵で、曲と合わせて自分で弾いてみたいですね。シンプルさを極めたようなベースもどっしりとした魅力に溢れています。この曲をバンドで演奏できたら楽しいだろうなあ。

 ACAねさんの歌い方も、ゆったりだけれど聞かせてくる声が本当に素晴らしいです。そしてサビの高音部の透明感。自分の好みど真ん中です。曲の時点で十分に魅力的で、なかなか歌詞が頭に入ってこないほどでした。

 さて、歌詞に目を向けると、歌声と同様透き通っているなと感じました。「君がいて水になる」「ただ力を抜けた光る方へ」「明かせない まだ分からない」といった言葉からは、自分の気持ちは分からないけれど、自然体で心の思うままに進んでいきたいなという願いが込められているように思います。平易な言葉だけれど様々に解釈できる歌詞が良いですね。

正しい偽りからの起床(初回限定盤)

正しい偽りからの起床(初回限定盤)

緑黄色社会「溢れた水の行方」レビュー

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レビュー

 本作は、緑黄色社会(リョクシャカ)らしいストレートな歌詞と爽やかな感じに溢れたミニアルバムだったと思います。聞いているだけで、どんどん元気になりそうな曲の数々ですね。

 それでいて、色々な雰囲気の曲が集まっていて、聞いていて楽しかったです。こんな風に様々な曲調になったのも、メンバー全員が作詞作曲を手がけたからでしょうね*1

あのころ見た光

 本曲の歌詞は素敵ですよね。言葉の数々から「あのころ」と「今」の対比がなされつつ、未来への希望が示されているところとか。

嫌いなものでも ある日好きに変わる
そんな不思議が起こるから背伸びはやめた

 この部分とか、人生の経験を経て成長した「僕ら」が、上手いこと描かれている気がします。人生を早回しでみるかのように、歌詞に時間的な奥行きがある感じがあって好きです。

 また、「誰かの光になれるかな」と悩みを見せつつ、最後に

やっと今見つけた答えを身にまとって
僕ら明日を生きてく

とストレートに希望が示されているのも良いです。前向きになれる、良い歌詞ですよね。

 ちなみに、歌詞のtwenty oneってなんのことだろうと思ったら、純粋に21歳のことを指しているらしいです*2。21歳の時に作られた曲がベースになっているのだとか*3

 曲について言えば、サビの展開が良いですよね。特に、ピアノのコード進行が緑黄色社会らしい爽やかな印象を与えてくれているような気がします。

視線

 「あのころ見た光」とはうって変わって、気だるげで落ち着いた曲調。でも、こんなしっとりした曲調にも長屋さんの声は合うんだよなあ。

 そして、この声と歌詞もマッチしているんですよね。片思いのちょっといじらしい感じ。特に、

少しだけでいい
偶然なんかじゃなくてもさ
君の瞳で僕を捉えて

という部分とか。たくさん話したい、好きになって欲しいなどといった願いではなくて、単純に視線が合うことだけを望む。真っ直ぐで、儚げで、だからこそ美しい思いですね。そしてそれを伝える長屋さんの透明感のある声。素敵ですね。

Never Coming Back

 本曲は、イントロからオルガンを多用する、格好いい曲調の曲でしたね。Autotuneを使った感じの歌がちょくちょく入っているせいか、サビの部分などは、流行りのEDMを想起させますよね。

 それにしても、長屋さん+男性のコーラスって合いますね。せっかくの男女混合バンドなので、こういう感じの曲も色々と聞いて見たいものです。

 歌詞について言えば、「なぜだか止められない ローテーション」など、ちょっと大人の感じ。止まらない恋愛というゲームにはまり込んで行く姿が眼に浮かぶようです。

サボテン

 これまたちょっと曲調が変わって、可愛らしくポップな感じ。それなのに、歌詞はちょっと重いんですよね。深すぎる愛に枯れてしまったサボテン。曲と歌詞のギャップがものすごいです。

 この曲、サボテンというのは恋か何かのメタファーになっているのかなとも思いました。

必ず無駄にはしないよ枯れたサボテン
という歌詞と、 いつかいつか私の愛の花を咲かせよう
という歌詞が対になるのも、枯れたサボテン=そんな水=愛情を必要としない人との恋を乗り越えて、幸せになるんだという気持ちに溢れているからかなと感じたので。

 実際、長屋さんもそういう気持ちで歌詞を書いていたみたいですね。

「サボテン」という曲でした。これは恋愛の歌なんですが、いわゆる水のあげすぎでサボテンを枯らせてしまったことと、愛情を注ぎすぎてうまくいかない恋愛とのオーバーラップが歌の内容だったんです。
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 この曲を聞いていると、枯れた恋も無駄じゃなかったんだ。恋は何度でも繰り返せるんだというような気持ちになりますよね。

Bitter

 何故かは分からないのですが、好きなんですよね、この曲。でも、おそらく、曲も歌詞も裏表がないストレートだから好きなんでしょうね。

 曲は長屋さんの声と歌詞にフォーカスを当てるようなシンプルなもので、長屋さんの歌声が紡ぐのは近寄りたいけどなかなか近寄れない子の想い。

 こんなにストレートに気持ちを伝えられて見たいと思わせる歌詞ですね。

リトルシンガー

 このミニアルバムを締めくくるのは、ポップ・爽快なこのナンバー。サビの疾走感がたまりませんよね。シンプルなリズムから生み出されるスピード感が良いですね。

 そして、歌詞もストレート。「僕は僕のために生きて 僕を笑顔にしたい」という歌詞を聞いていると、色々なことに思い悩まずに、自分は自分のためにシンプルに生きて良いんだという気にさせてくれます。

 元気になりたい時に是非是非聞きたい一曲ですね。

ずっと真夜中でいいのに。「ヒューマノイド」レビュー

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ヒューマノイド

ヒューマノイド

レビュー

 ずっと真夜中でいいのに。(通称:ずとまよ)の2作目である、「ヒューマノイド」のレビューです。

 本作を聞いてみての感想は、思ったより普通な曲だなということです。「秒針を噛む」「脳裏上のクラッカー」は割と好きだったのですが、本作はまあまあ好きという感じになりそうです。まあ、出していく曲が全部好みど真ん中というのも珍しい話ですが。

 聴き終わってみてから、繰り返し何度も再生してみて、なぜ自分がこの曲をそこまで好きになれなかったかが分かりました。1点目は、ACAねさんの歌い方。今までの2曲は、ACAねさんのボーカルの力強さが良い感じに表れていて、自分が最も惹かれたのはその部分でした。本曲は、それらと比較すると落ち着いた歌い方になっており、ちょっと期待していたのと違うなと思ってしまいました。

 2点目は、メロディの繰り返しがかなり多いこと。イントロは2回、Aメロは4回、Bメロは2回、サビは2回同じようなメロディを繰り返しています。このメロディの繰り返しによって、少し曲が単調だなという感想を抱いてしまいました。

 まあ、アーティストとして色々な曲を作るのは当然なので、本曲が悪い曲だとは思いませんが、単純に自分の好みと違ったという話ですね。

 他の部分については、いつも通りの感じだったと思います。相変わらず凄く上手な楽器隊に、解釈の余地を多分に残している歌詞。

 果たして、発売されるミニアルバムでは、どんな曲が待っているのでしょうか。

関連記事>>>ずっと真夜中でいいのに。「正しい偽りからの起床」レビュー

正しい偽りからの起床(初回限定盤)

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ずっと真夜中でいいのに。「脳裏上のクラッカー」レビュー

作品情報

脳裏上のクラッカー

脳裏上のクラッカー

ACAねさんがアコースティックギターで歌ってるバージョンもあります。

レビュー

 ずっと真夜中でいいのに。(通称:ずとまよ)の2作目である、「脳裏上のクラッカー」のレビューです。

 本作を聞いて耳に残るのが、ACAねさんの高音部のパートですね。最初の囁き声のような歌声から徐々に盛り上がって行ってからのサビ。前作の「秒針を噛む」と比較してもずっと高い声は、歌声というよりも、思いのこもった叫びのよう。特に、最後のサビの部分は、心の中から感情が溢れ出しているような声で、非常にインパクトがあると同時に僕が好きなパートです。

 ボーカル以外で言えば、本作はベースが凄く良いですね。所々ベースがない部分があるからこそ、ベースが入っている部分の存在が一層引き立ちます。各所で入るスラップも非常に効果的で、生き生きとした感じを曲に与えています。ACAねさんの声とこの曲の雰囲気にぴったりですね。このPVの最後に書かれているように、このベーシストは櫻井陸来さんで、自分でバンドをやっていると共に、西野カナさんなど様々なアーティストのサポートに入っているみたいです*1。流石の実力ですね。

 さて、前作に引き続き本作の歌詞も所々謎です。「脳裏上のクラッカー」というタイトルから然り。PVを見たところ、クラッカーはパーティーで使うクラッカーですが、脳裏上とはなんぞや。脳裏とは、一般に頭の中を意味しますが、脳裏上だとどういう意味になるんでしょうね。頭の中なのか上なのか。「秒針を噛む」というタイトルといい、このようなちょっと不思議で独特な言葉づかいが、ずっと真夜中でいいのに。の魅力みたいですね。

 ただ、それ以外の部分について言えば、なかなか素直になれない思いがストレートに表れているように思いました。これが、ACAねさんの叫びのような高音部と非常にマッチしているんですよね。歌詞が心の奥までまっすぐ飛び込んでくるような感じがしました。

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正しい偽りからの起床(初回限定盤)

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