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「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」ーまさに鬼ごっこのような作品

作品情報

監督: スティーヴン・スピルバーグ

評価

☆☆☆☆(最高評価は☆5つ)

※以下は作品のネタバレを含むので、注意してください。

ネタバレ感想

 Catch me if you can. 英語圏では、鬼ごっこを始める時の掛け声だそうです。そんなタイトルがつけられた本作は、まさに鬼ごっこのような作品だと思いました。

 鬼ごっこって、単純な遊びではありますが、一つユニークな特徴があると思うんです。それは、鬼以外の者は鬼から逃げるのが目的ですが、鬼に捕まらずにずっと逃げ続けるのはつまらないし、寂しいというものです。複数人でありうる鬼に対して、逃げる側は大抵単独で逃げますから、時間が経つにつれ寂しくなっていくんですね。特に、鬼に追いかけられていない時には、なおさら孤独が強まります。逆に、鬼に捕まりそうな時こそ、逃げる事に一生懸命になったりして、楽しいんですよね。

 本作は、そういう点を含めて鬼ごっこに似ているなと思いました。

 主人公のフランクは、色々な詐欺を繰り返しながら、カールを含めた警官の追跡の手をありとあらゆる手でかわしていきます。鬼役から見つかって捕まりそうになりながらもうまいこと逃げていくわけです。

 そんなフランクも、鬼から一人で逃げ回る最中、寂しさのあまりカールに電話をかけたりします。一人で逃げ続けることの孤独に苛まれ、家族など誰かと共にいる事が当たり前のクリスマスに、鬼役のカールに電話をかけるのです。電話をかけて鬼に捕まえられるリスクに、孤独の辛さが勝った瞬間ですね。

 フランクは、結局フランスで捕まる事になります。カールに逮捕されそうになっている状況にも関わらず、フランクはカールに会ってどことなく嬉しそうでしたね。鬼に捕まりそうだからこそ楽しい。まさに鬼ごっこです。

 フランクは鬼に捕まった後も、何度も逃げ出しまた鬼ごっこを続けようとします。そんなフランクを止めたのはカールの言葉でした。

 "Look, Frank: nobody's chasing you."

 鬼がいなくなって鬼ごっこは終わり。まさにタイトルのイメージそのものの、綺麗な終わり方でしたね。