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「シンエヴァンゲリヲン劇場版」感想

作品情報

監督:庵野秀明

評価

☆☆☆☆(最高評価は☆5つ)

※以下は作品のネタバレを含むので、注意してください。

ネタバレ感想

 本作は、エンターテイメントとして非常に面白い作品だった。そして、私はもうエヴァはいいかなと思った。

 話の前提として、私はそんなにエヴァンゲリヲンを熱心に見ていた訳ではない。エヴァとの出会いは、高校時代。部活の先輩が熱心にエヴァンゲリオンを見ていて、日々がエヴァ色に染められていた。そんな状況で見始めた新劇場版。非常に面白かった。その後、Qまでは見たものの、アニメ版を見始めて途中で挫折するくらいには緩くしか作品を見ていなかった。シンエヴァンゲリヲンが公開されるに合わせて過去の作品を見返し、あ、面白いじゃんと思って本作を見たという次第だ。

 本作は、話としては面白かったし、映像としても綺麗だった。物語には迫力もあったし、終わり方も無事に畳んでいた。良い作品だったと思う。それでも、1点気に入らなかった点がある。

 それは、庵野監督がエヴァはもういいでしょ、といっているかのような話の筋が、どうもしらけてしまったことである。小学校の放課後、みんなで新しい遊びを開発して楽しく遊んでいたのに、先生にもう時間だからそんなくだらない遊びはやめてさっさと帰りなさいとたしなめられた時のような感覚。

 君たち、エヴァはもういいでしょ、というメッセージはいたるところに込められていたような気がする。「さようなら、全てのエヴァンゲリオン」というキャッチコピーがそう。エンディングをいい感じにまとめて終わらせたのもそうであるし、ラストシーンでアニメーションの世界から現実の世界に引き戻したのもそう。そして極め付けは、ラストの初号機と13号機との戦いの舞台=特撮セット。本作は、これまでの作品は全て作り物なのだ、単なる作品なのだ、だからこそスタジオから出て現実世界に戻りなさいと諭しているような気がした。

 作品外でそういうことを言われるのは百歩譲って許せるとしても、このように物語内で物語を否定されると、じゃあ今まで私が見てきたこエヴァンゲリヲンとはなんだったのだと言いたくなる。作り物の世界ではなく、現実を見よ、アニメの世界でなく現実に出ていこうなんて、そこで言わなくても良いじゃん。せめて生みの親ぐらいは、うちの作品よりも現実の方が大事だから現実を見た方が良いよ、なんてわざわざ言わなくて良いじゃん、どっちにせよ誰かが言う訳だし。生みの親が、もうこの作品をこれ以上見なくても良いでしょ、と結論づけた作品を、今後見ようとも思わない。

 J・K・ローリングが、最終巻でハリーポッターにいきなり「魔法なんてどうでも良いんだ」とか言わせて、ハリーはもう二度と魔法を使うことはありませんでした、ニューヨークの大手銀行に務めたハリーは美しい妻と幸せに暮らしました、めでたしめでたしと話をまとめたようなものだ。シンエヴァンゲリヲンは、往年のファンを現実に引き戻すための劇薬を撒いたおかげで、少なくとも自分は、もうエヴァは良いかな、テレビアニメシリーズとかも見る必要もないなと思ってしまった。

 本作は面白かった。それは間違いない。そして同時に、僕にとってのエヴァというコンテンツ自体の魔力を剥ぎ取ってしまった。さよなら、全てのエヴァンゲリヲン。僕がエヴァにどっぷり浸かったことはなかったし、これからも浸かることはないでしょう。全ては、監督の仰せのままに。