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創作と海外の視点を内在化することについて

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 写真やブログ記事などの創作活動をしていて、ネタに詰まってしまうと、ふと思うことがあります。「もし自分が今海外に居れば、撮るネタ、書くネタに困らないのになあ。そうすれば、もっと良い作品が作れるのに」と。

 違う国にいれば、毎日が新しい発見です。自分が留学していた時も、その国の人にとっては何のこともない風景や日常を、毎日撮ったり書いたりしていました。

 留学から日本に帰ってしばらくして、いつしか日本は刺激的じゃないな、面白くないなと思うようになりました。身の回りの風景は特に変わらないし、ちょっとばかり旅行にいったところで、日本語は通じるし、大した違いもありません。そんな中で、徐々に写真や物を書いたりすることが減っていったことがありました。

 そんな自分にとって転機となったのが、とある写真家の作品と出会ったこと、そして500pxという写真SNSに写真を投稿し始めたことです。

 とある写真家とは、ウジェーヌ・アジェ。30年にも渡ってパリの風景を撮り続けた、半世紀以上も前のフランスの写真家です。彼の作品の数々は、美しく古いパリの情景を切り取っており、こんな海外の風景を写真に収められたらな、と思ったものです。

 そこで、ふと気づいたのは、彼にとってパリの風景は見慣れたものであったのではないかということ。日本人の僕の目からすれば、どの写真も新鮮で、好奇心をかきたてるものでした。でも、彼にとっては?長きにわたってパリに住んでいた彼にとっては、写真の数々は見慣れたパリの風景を切り取ったものであり、新鮮なものではなかったかもしれません。

 次に転機となったのは、500pxにアップした写真の中で、評価されていた写真を眺めていた時。その多くが、僕にとっては当たり前の、いわば「日本的な」写真でした。

 そこで僕の中に閃きが訪れました。もしかして、僕が居る場所、居る国といったものは、僕の作品の良さとは関係のないものではないか。僕がアジェの作品がとらえたパリの風景を新鮮に思うように、海外の人も僕のとらえた日本の日常を新鮮に思うのかもしれない。

 そうすると、作品の良さを決めるのは、僕の居場所ではなく、僕が世界を切り取る視点ではないか。仮に僕が日本から離れられなくとも、海外の人々の視点を僕の中に内在化できれば、僕が当たり前の日常として切り捨てているものの中から、海外の人が魅力的だと思うものを切り取れるかもしれない。そして、それが日本人にとっても素敵な日本を再発見することができるかもしれない。ウジェーヌ・アジェが見事にパリの美しい風景を写真で残したように。

 僕の作品の良さは、僕の居場所ではなく、僕の視点によって決まる。

 それに気づいて以来、日常の物事に対する感度が上がった気がします。そして、以前よりも幅広いものを題材に作品を作ることができるようになりました。それによって、僕の作品が客観的にどれだけ良くなったかは分かりませんが、少なくとも、主観的には良くなったと思います。

 みなさんも、海外の視点を意識して日常を切り取ってみると良いかもしれません。日本人にとっては当たり前だけれど、もしかすると海外の人にとっては珍しいかもしれない物事。それは、時に、日本の人にとっても魅力的なものかもしれません。