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上原ひろみのおすすめアルバム6選

はじめに

 僕が一番大好きなピアニストは誰かと聞かれたら、真っ先に上原ひろみさんの名前を挙げます。毎回、新しいアルバムが出る度に、何度も何度も繰り返し聞いている僕が、おすすめのアルバムを4つ紹介したいと思います。

 僕は、上原ひろみさんは常に進歩し続ける、稀代のピアニストであると同時に稀代の作曲家であると思っています。そして、上原ひろみさんのアルバムは名盤ぞろいですが、ピアノソロならピアノソロ、ピアノトリオならピアノトリオというように、基本的に同じ編成であれば常に最新作が一番良いのです。まさに、魔法使いみたいな存在です。

 ですので、今回は編成ごとにおすすめのアルバムを紹介していきたいと思います。なお、編成に特に好みがないというのであれば、最初に紹介しているSpectrumが一番おすすめです。

上原ひろみのおすすめアルバム6選

最新の上原ひろみさんのピアノソロを聞いてみようー「Spectrum」

 2019年に発売されたピアノソロの最新アルバムがSpectrumです。ピアノソロのアルバムになります。これまでの上原ひろみさんが培ってきたピアノの技巧が惜しげも無く注ぎ込まれているのが本作です。

 百聞は一見に如かずということで、表題曲のSpectrumをお聞きください。

 ピアノってこんなに迫力があって、壮大で美しいんだ。ピアノってこんなに可能性に満ちているんだ。そう思わせるような曲の数々が集まる本作。僕のこの記事を読む時間があるなら、一刻も早く聴いてほしい。それほど素晴らしい作品です。

もっとピアノソロが聞きたいなら─「Place To Be」

 ピアノ一台でここまで表現できるのか。そんなピアノの可能性を追求した作品だと感じたのは、「Place To Be」です。純粋に技巧的に難しい曲もあり、優しく美しい曲もあり。まさに、「上原ひろみ」って音楽が詰まっている、玉手箱みたいな作品だと感じました。「Spectrum」が発売された今でも、その華麗さは色褪せることなく。特に、表題曲である「Place To Be」は素晴らしく、何年も何年も、何回も何回も繰り返し聴いている作品です。少し悲しい始まりをするのですが、段々と優しく、希望があふれていく感じになって。人生なんとかなるんだなって、前向きにさせてくれる曲です。

Place to Be

Place to Be

  • 上原ひろみ
  • ジャズ
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

 余談ですが、このPlace To Beは、ピアノの楽譜を買ってみました。

ピアノソロ PLACE TO BE/上原ひろみ

ピアノソロ PLACE TO BE/上原ひろみ

  • ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス
Amazon

 実際の譜面を見てみると、耳で聞いていたのよりも数倍難しく思える譜面でした。そんな、僕を含めた普通の人ならば一生弾きこなせないだろうなって曲がたくさん収められているのが、この「Place To BE」です。

達人同士のピアノデュエット─「デュエット」

 次に紹介するのが、上原ひろみさんとChick Coreaさんのアルバム、「デュエット」です。美しいメロディ、止まらない即興の音の掛け合い。二人の掛け合いを見ていると、聞いているだけの自分も楽しくなってきます。

 このアルバム、上原ひろみさんもすごいんですけれど、やっぱりチックコリアさんは神ですね。何をいまさらって感はありますが。

 この中でも一番おすすめなのが、"Old Castle by the River in the Middle of a Forest"です。"Spiral"という上原ひろみさんのトリオのアルバムにも収録されていますが、本作ではピアノデュエットになることで一層雄大な雰囲気を醸し出していて素敵です。

ハープとピアノの組み合わせ─「ライヴ・イン・モントリオール」

 さらに紹介するのが、二番目に新しいアルバムであるのライブ・イン・モントリオールです。上原ひろみさんと、アルパ(南米のハープ)奏者のエドマール・カスタネーダさんがモントリオールで行ったライブを収録したアルバムです。何か従来とは違った新しいものを聞いてみたい、そんな人にもおすすめです。

 ハープとピアノの組み合わせって、なかなか珍しい組み合わせですよね。でも、これが非常に情熱的で凄いのです。とりあえず、演奏を聞いたことがない方が居れば聞いてみてください。


Hiromi & Edmar Castaneda - Fire (Live in Montreal)

 本アルバムでは、こういう超絶技巧・驚天動地みたいな曲ばかりではなく、非常に落ち着いていて癒される曲など、色々のバリエーションがあって、素敵です。なお、ライヴ・イン・モントリオールについては、詳細な感想記事を書いたので、よかったらこちらもどうぞ。

spaceplace.hatenablog.jp

美しきピアノ・カルテット「シルヴァー・ライニング・スイート」

2021年9月に発売された本作は、なかなか説明するのが難しい作品です。ピアノとストリングスの豊潤な演奏は、美しく、時に繊細で、特に激しい作品です。ハープとのコンビネーションである「ライヴ・イン・モントリオール」は、その勢いが素敵な作品ですが、こちらは完全に調和の取れた作品となっています。

上原ひろみさんの新たな側面を聴いてみたい。そんなあなたにおすすめの作品です。

ピアノ・トリオの1つの境地─「SPARK」

 最後に紹介するのが、ピアノ・トリオのSPARKです。ザ・トリオ・プロジェクト(上原ひろみ・Anthony Jackson(ベース)・Simon Phillips(ドラム))の最新作ですね。お三方の演奏は、僕の語彙力では表現しきれないくらい素敵です。そして、三人のトリオであるからこそ、お互いに高め合うことで、他の作品では見られないような上原ひろみさんの素晴らしさが堪能できます。

 この作品のタイトルにもあるように、僕がこれまでの人生の中で一番SPARK=心の衝撃*1を受けたアルバムが何かと聞かれたら、迷わずこのアルバムを選ぶでしょう。技術的に神がかっているのはもちろんのこと、それだけではなく非常に美しくてなおかつ奥行きがあって……半年程ひたすらこのアルバムを聴いていた時期があったぐらい、ものすごい作品の数々です。

 とりあえず、SPARKのイントロだけでも聞いてみてください。絶対に衝撃を受けますから。

 この動画で、ドラム担当のSimon Phillipsさんが語った言葉は、まさにその通りだと思います。

初めて演奏したとき、息がぴったり合ったんだ。そして、その後もずっと。奇跡が起きたみたいだ。

 この奇跡のようなアルバムを、ぜひ一度、皆さん聞いてみてください。