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「ラ・ラ・ランド」感想ー切なく、儚く、美しい

作品情報

監督: デミアン・チャゼル

評価

☆☆☆☆(最高評価は☆5つ)

※以下は作品のネタバレを含むので、注意してください。

ネタバレ感想

 本作は、映像・音楽・演出など全ての面で非常にレベルが高く、これだけ評価されているのも納得な作品だと感じました。

 特に音楽が最高で、映画を見終わった今も、作品で繰り返し流れていたCity of Starsを聴きながらこの記事を書いています。この切ないピアノから、歌声が加わってだんだんと前向きになっていく感じがたまりませんね。

 ただ、本作のストーリーは、細かい点が少し気になりました。夢を追いかける二人の出会いはロマンチックでもなんでも無いものだったけれど、だんだんと惹かれ合い、幸せな時を共に過ごす。しかし、夢を追いかける過程で二人はすれ違わざるを得なくなってしまう、といった大筋のプロットは好きなんですが。

 特に気になったのが以下の二点。1つは、散々オーディションに落ち続け、一人で舞台を始めるも客が入らず挙句の果てに大根役者とまで罵られていたミアが、その舞台で評価されて映画の主演女優になった点。今まで演技が下手というような描写しかなかったミアが、突如評価されて大女優になるというのは、少しご都合主義だったようにも思えてしまいました。

 もう1つは、夢を追うためにセブと別れてパリに行ったミアが、5年後にあっさり結婚していて子供までいた事。子供がそれなりに大きかった事を考えると、ミアはパリに行ってから数年後には結婚した事になりますが、真摯に女優の夢を追っていた割には再び恋愛して結婚するのが早すぎないのかと。せっかく愛よりも夢を選んだのに、結局ミアの夢の追い方はそこまでまっすぐではなかったのでは無いかとも思ってしまいました。これが5年後でなければここまで違和感はなかったのですけれど。

 ただ、最後のセブがピアノを弾くシーンは最高でしたね。ピアノと共に写し出されるあり得たかもしれない未来。もしもセブが夢を一度諦めてミアを追っていたならば、叶っていたかも知れない幸せな生活。それが映し出されるのが切ないです。

 加えて、その生活が、今の生活よりも不幸だとは言い切れないというのが、より一層悲しくて胸の奥が締め付けられます。実際、セブはバンドで成功するだけの実力を持ったピアニストですから、パリで名を売る事ができれば、ジャズバーを開くという自分の夢を叶える資金を稼げた可能性もありますよね。夢と愛とを両方手に入れる事ができ、今よりももっと幸せになった可能性があった訳です。

 もちろん、そんなハッピーエンドの可能性が高かったとは言えません。セブは今のバンドに所属する前は、全然評価されていなかったピアニストでありました。それを考えれば、一からパリで活動するよりも、成功しているバンドのピアニストとして活動した方が、よっぽど稼げるはずです。また、セブはバンドの契約に縛られている訳ですし、突如活動をやめれば債務不履行の責任を問われ損害賠償を支払う必要が生じるかも知れません。その意味で、本作におけるセブの選択は合理的なものでした。

 それでも、自分の選択が正しかったと思っていても、再び愛する人と出会った時に、ミアもセブもあり得たかも知れない未来を考えてしまう。それでも、最後にはそれを断ち切って、言葉を交わす事なく、お互い笑顔で別れる。それが、切なく、儚く、美しいと感じました。