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映画「オブリビオン」感想

作品情報

監督: ジョセフ・コシンスキー

評価

☆☆☆(最高評価は☆5つ)

※以下は作品のネタバレを含むので、注意してください。

ネタバレ感想

 本作は、映像のクオリティが素晴らしい、なかなか面白いSF映画でした。

 序盤から、丁寧な伏線が張られていたということもあって、ジャックがジュリアを救う段階で既に、ジャックが戦っているのは人類だということに気づきました。そして、現代から半世紀ほどしか時間が経っていないにも関わらず、テクノロジーが異常に発達しているのを見て、ジャックは宇宙人側に記憶を消されて戦っているのではないかと察知しました。でないと、わざわざジャックの記憶を消す意味がありませんからね。

 しかしながら、まさかジャックがクローンで何人も何人も使役されていたとは。なんとなく、テットが他の人間をも使役していることは想像していましたが、ジャックがクローンということは想定外でした。まあ、超技術を持っているテットにとっては、クローン作成は大して難しいことではなかったのでしょう。

 それにしても、これだけの技術を持っており、ドローンがあれだけ強いのであれば、別にジャックのクローンを作らなくても地球を制圧できたのではないかとも思いました。ドローンの一撃で、人が粉々に消し飛ぶ位ですからね。ジャックを作るリソースをドローンの作成に向けていれば、もっと簡単に戦争に勝利できたのではないでしょうか。まあ、この点については人間を調教して人間同士に戦わせた方が、より人類に精神的ダメージを与えられたとテットが判断したのかもしれません。心拍数から嘘をついている等を判断できる位、テットは人間を研究したみたいですし。

 本作にはもう1つ違和感を感じる点がありました。テットとしては地球の水を得るのが目的だったのですから、ドローンなんてちゃちな物を使うのではなく、水爆でもなんでもぶちかましまくれば、簡単に地球人を倒せたのではないかという点です。ただ、これについても、地球の荒れ具合からすれば、充分に地球を爆撃した後だったと考えることもできますね。

 いずれにせよ、テット側の戦略は、あり得ないものではないといったところでしょうか。

 さて、物語の終盤に目を向けると、テットを爆撃しに向かう際に、機械であるドローンと武器であるジャック(=人間)の違いがよく表れていて、うまい対比だなと思いました。機械ならば、主義主張など関係なく、プログラム通り行動するだけですが、人間は違う。人間は、自分で気づき、自ら判断できる。何が本当に大事なものか考えられ、それのために行動できる。そして、その結果自己犠牲で人類を救ったジャックは、高潔な人物でしたね。

 最後のシーンについて考えてみれば、あれはハッピーエンドだったのかというのが、本作で一番考えさせられたシーンでした。tech 49は死んだものの、tech 52に出会うジュリア。tech 52は、自分が同じジャックだと主張していますが、同じジャックとして振る舞うtech 52とtech 49は別人のようにも思えます。その一方で、記憶の大部分を共有しているtech 52を全くの別人と考えるのも変です。そもそも、人間は、記憶をどんどん忘却・改変していくため、完璧に記憶を保持し続けることは不可能なわけですが、大部分の記憶を保持しているtech 49とtech 52の人格の同一性を否定すると、我々は自己の人格の同一性すらあやふやになる恐れすらあります。

 それこそ、ジュリアの娘のWho's that?(あれは誰?)という発言は確信をついているように思えますね。同一人といって良いのか分からないし、あの終わりがハッピーエンドかも分からない。明るいとも暗いともつかない最後のシーンの音楽が、それを強調しているようにも思えました。