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映画「サイコ」感想

作品情報

サイコ (字幕版)

サイコ (字幕版)

  • アンソニー・パーキンス
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監督: アルフレッド・ヒッチコック

評価

☆☆☆☆(最高評価は☆5つ)

※以下は作品のネタバレを含むので、注意してください。

ネタバレ感想

何も知らない状態で見た本作は、非常にスリリングかつ面白い映画でした。

前半部分は、どちらかというと退屈で、男女問題のすったもんだが描かれるのか、面白くなるといいなと思いながら見ていました。しかし、アンソニー・パーキンス演じるノーマンが登場してから一気に引き込まれました。女性慣れしていないただの好青年かと思いきや、鳥の剥製を作るのが趣味ということを聞いて不気味になり、母親を施設に入れるという話をした際の表情変化がかなり恐ろしかったです。そして、後から考えると、この時点ですでに母親はとっくの昔に死んでいた訳で、そんな状況でも母親を置いていくことはできないなどと、心の底から考えていたというのが恐ろし過ぎます。

そして、マリオンが元の街に戻ると言い始めた時に、このまま帰ってしまったら直ぐに物語が終わってしまうなーと思っていたところで、例のシャワーシーン。いやもう、背後から物陰が近寄っただけで肝が冷えましたが、そこから繰り広げられる凄惨なカットの数々。正直なところ、グロさだけで言えば、近年の作品の方がよっぽど酷いとも言えますが、効果的な映像と音楽の組み合わせで、近年の作品よりもよっぽど印象的な作品になっていますね。ただ、流れ出る血液量から、本当にマリオンが死んだかどうか直ぐには分からなかったので、そこは当時の感覚と現代の感覚でズレがあるんだなと思いました。

マリオンの殺害後、ノーマンが結構わたわたしながら死体を処理していたので、突然母親が殺人を犯して大変だなーと同情しながら見ていました。特に、マリオンを車ともども沼に沈めるシーン。車が沼の向こうに消えて無くなるまで、すごく不安そうな表情をしていて、いっそう同情が強まりました。その後に始まる探偵映画パート。完璧に死体が処理された中で、どうやってこの探偵はノーマンを追い詰めるのだろうかと思って見ていたら、思ったよりも探偵が有能でワクワクしました。そんな彼も直ぐに殺されてしまいましたが。。。二回目の死体の処理のシーンはテンポよくカットされていましたが、沼に車を沈めるシーンのノーマンが慣れ切った表情を浮かべていて少し怖かったですね。

そしてノーマンの母親とのご対面。実はノーマンの母親はとっくの昔に死んでいたことが明らかになり、母親の服装を着たノーマンが襲ってきます。怖いは怖かったですが、女装しているノーマンの姿を見て一瞬笑ってしまいそうになりました。すっごく良い笑顔をしているんですもん。次の瞬間、手に持っているナイフを見て、あ、やばい。マリオンの妹も殺されてしまうのかと思ったら、一般人であるはずのサムがノーマンを見事に押さえつけていて、サムはちゃんと筋トレしてるんだな、僕も鍛えようかなと間の抜けた感想を抱いていたら画面が切り替わりました。マリオンの妹に対し、一人でも帰れるかと言って、死亡フラグを立てていたにもかかわらず、無事に帰れてよかったね。サム。

最後のネタバラし。二重人格だったのは想定外でした。思いっきり男性の声と女性の声で会話しているところをマリオンは聞いていましたから、てっきり母親がいるのかと思っていました。しかし、最後らへんのシーンをみると、単にノーマンは女性声も出せるということのようで、完全にしてやられたという感じです。そして、二重人格であったということを踏まえて本作の物語を振り返ってみると、よりノーマンの異常性が感じられて、一粒で二度恐ろしいホラーでしたね。ストーリーだけでなく、音楽や構図も素晴らしく、少し時間を置いてから、もう一度見たくなる非常に満足度の高い作品でしたね。