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宇宙法模擬裁判とは?

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はじめに

 宇宙法に興味があって、色々なイベントを調べていると見つかるのが、宇宙法模擬裁判。それってどんなものなのかについて説明するのが、本記事の趣旨です。

 そもそも、日本で言う宇宙法模擬裁判とは、日本で開催されている(おそらく唯一の)宇宙法模擬裁判の大会である、マンフレッド・ラクス宇宙法模擬裁判大会の日本大会を指すことが多いです。日本宇宙法学生会議が主催している大会で、例年3月に開かれています。

 そのため、今回は、本大会について説明していきます。

 なお、本大会の沿革については、日本宇宙法学生会議のホームページで詳細に説明されているので、そちらをご覧ください。

宇宙法模擬裁判の内容

 ということで、本題の宇宙法模擬裁判の内容に入っていきます。

 宇宙法模擬裁判では、模擬裁判という名前の通り、裁判を模したものを行います。ある事件が起きて、原告が被告に対し損害賠償等を請求するわけです。

 1チーム2~4名で、そのうちの1~2名が原告を、残りの1~2名が被告を担当します。そして、他チームの被告や原告と裁判をして勝負するという訳です。

 裁判官は、大学教授の方や実務家の方などが担当し、勝敗はこの裁判官の方々が決める、ということになります。

 宇宙法模擬裁判は、以下のようにして行われます。

 ①コンプロミ(問題文)が発表される
 ②参加登録をする
 ③裁判に提出する書面を作成し提出する
 ④相手チームの書面を読み分析する
 ⑤提出した書面に基づき裁判で弁論を行う

 これらのそれぞれについて、説明していきたいと思います。

①コンプロミ(問題文)が発表される

 大会で使う問題文が発表されます。問題文には、裁判の対象となる事件と、請求内容が書かれています。

 ここで、2018年度の問題文を見てみましょうか。

 1頁目に書かれている通り、事件名は「競合する宇宙活動、惑星の保護および宇宙空間の安全保障に関する事件」です。そして、2頁以降に原告・被告が合意した事実関係について記載があります。さらに、12・13頁に、当事者の請求が載っています。

35.Neapilia は国際司法裁判所が以下の通り判決し、宣言することを請求する。
1. Kalvion の行為は国際法および宇宙空間の平和利用に反する違法なサイバー攻撃を構成する。
2. Kalvion は「50 Rays (Klans)」計画で生じた全ての損害および SalPA 社に関する全ての間接損害、利益の損失、同社整理について責任を負う。
3. Neapilia は火星における Kalvion の採掘活動の中止につき責任を負わない。

36.Kalvion は国際司法裁判所が以下の通り判決し、宣言することを請求する。
1. Anaklan の活動を中止させた Kalvion の行為は、同国の宇宙資源へのアクセスの防御および火星環境の保護の確保のための適法、非攻撃的かつ必要な行為である。
2. Kalvion は「50 Rays (Klans)」計画の中断によって生じたあらゆる損害および SalPA社に生じたあらゆる結果に対して責任を負わない。
3. Neapilia は火星での Kalvion の採掘活動の中止について責任を負う。

 35が原告Neapiliaの請求で、3つの請求があります。36が被告Kalvionの請求で、原告と対応する形で3つ請求があります。

②参加登録をする

 日本宇宙法学生会議の公式ホームページで参加登録をします。

③裁判に提出する書面を作成し提出する

 裁判で弁論をする前に、弁論で主張する内容を書面で提出する必要があります。その書面(メモリアル)を書きます。

 上記の請求それぞれについて、自分たちで、宇宙条約等の条文に事実をあてはめて法的主張を作ることになります。そのため、条文の解釈等について、広範なリサーチが求められることになります。

 完成した書面は、締め切りまでに日本宇宙法学生会議に提出します。

④相手チームの書面を読み分析する

 対戦相手の書面が送られてくるので、それを読んで相手の法的主張を分析し、本番に備えます。こちらの書面も対戦相手に送られます。

⑤提出した書面に基づき裁判で弁論を行う

 ここまできて、ようやく裁判が行われます。本番自体よりも、準備期間の方が長いのが宇宙法模擬裁判ですね。

 宇宙法模擬裁判の弁論は、以下の流れで行われます。

 ①原告が書面に基づき弁論をする
 ②被告が書面に基づき弁論をする
 ③原告が被告の主張に反論する
 ④被告が原告の主張に再反論する
 ⑤裁判官が勝者を決める

 原告・被告が弁論等を行う際には、裁判官がいくつか質問をするので、主張に曖昧なところが残らないよう、しっかりと準備する必要があります。

 勝敗については、弁論だけでなく書面の質も考慮されることになります。

 このような弁論を行って、各チームが予選で対戦した後、上位2チームのみが決勝に進み、その勝者が優勝となります。

 また、書面が優秀だったチーム、優秀な弁論者も表彰されます。

まとめ

 いかがでしたでしょうか。宇宙法模擬裁判は、だいたいこのような形で行われます。

 宇宙法模擬裁判は、自分たちで法的主張を組み立てなければならない大会なので、リサーチを含め非常に大変です。しかし、そのような経験をすることはなかなかできませんし、学者の方や実務家の方の前で弁論をする機会はほとんどないでしょうから、非常に貴重な経験になると思います。

 一度、宇宙法を本腰入れて勉強してみたい!という方にはおすすめの大会です。

 宇宙法模擬裁判は、かなりノウハウがいる大会でもあります。そのため、大会に参加する場合、以前大会に参加した先輩のいる大学やサークルに参加するのが、出場する一番の近道です。

 日本宇宙法学生会議が歴代の出場チームを紹介しているので、一度ご覧になってはいかがでしょうか。