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Robert Frank"The Americans"レビュー

作品情報

The Americans

The Americans

評価

☆☆☆☆☆(最高評価は☆5つ)

※以下は作品のネタバレを含むので、注意してください。

感想

 Americansと聞いて、あなたは何を思い浮かべるだろうか。

 アメリカ人たち、という翻訳は頭に浮かぶかもしれない。しかし、具体的にアメリカ人たちがどのような人々の集団であるか否かについては、よく分からないというのが本音ではないだろうか。一般的に単一民族とされる日本人であっても、アイヌ琉球の人々がいて、その全貌を把握するのは難しい。ましてや、移民国家であるアメリカの人々を捉えることの難しさは比較にならないものだろう。

 それは、アメリカに一時期住んでいた事のある僕も同様で、Americansという字面は捉えられても、そこから具体的な人々の姿をイメージすることは困難だ。そして、これはアメリカ人だってそうなのではないだろうか。私たち日本人が日本人たちと聞いて具体的なイメージを浮かべるのができないのと同じく。

 そんな、「アメリカ人たち」という概念の具現化に(少なくとも一定程度)成功しているのが、本書の"The Americans"である。シカゴ、デトロイト、カリフォルニア...全米各地でRobert Frankが切り取った人々とその営みは、彼がこれらの写真を撮って半世紀以上後にアメリカに住んだ僕にさえ、懐かしいという感情を呼び覚まさせた。

 ここに写し出されている人々は、老若男女。様々な人種。白人だけが写っている写真もあれば、黒人だけが写っている写真もある。両者が入り乱れている写真もある。アジア系のような写真もあれば、そもそも人種が分からない写真もある。そのように入り乱れた人々が、ぼんやりとしたアメリカ人という概念を形作っている。本書の表紙の写真からも、その一片は見て取れるだろう。

 また、写真の中の人々の営みも、あるいは人が全く写っていない写真でさえも、アメリカ人たちというものを描き出している。家に掛けられた星条旗、ニューヨークの売店の様子、カバーの掛けられた車。広大な土地に佇む家々、カジノに興ずる人々、葬儀、どこまでも続く直線の道路。これらの写真は、その選択に明確な意思が感じとられるものの、僕はそれをうまく言葉にする事ができない。僕がアメリカ人たちという言葉を敷延できないのと同じ理由で。

 結局の所、言葉では説明できないのだ。少なくとも今の僕には。しかしながら、ただ1つ言えることは、この写真集は確かにアメリカ人たちを描き出しているし、だからこそ、本書は傑作と評価され、多くの写真家たちに影響を与えていったのだろう。

The Americans

The Americans