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映画「探偵はBARにいる」感想

作品情報

探偵はBARにいる

探偵はBARにいる

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video

監督:橋本一

なお、本作には原作が存在します。

バーにかかってきた電話 (ハヤカワ文庫JA)

バーにかかってきた電話 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者:直己, 東
  • 発売日: 1996/01/01
  • メディア: 文庫

評価

☆☆☆(最高評価は☆5つ)

※以下は作品のネタバレを含むので、注意してください。

ネタバレ感想

 私は原作を読んでいない人間だが、私は本作にハマらないタイプの人間だった。

 もともと、水曜どうでしょうから大泉洋さんを好きになったので、最初に大泉さんが登場したシーンから何故か笑みがこぼれてしまいながら見始めた。北海道の地と大泉洋。死ぬ前の走馬灯でもないのに頭の中に駆け巡る水曜どうでしょうのシーンたち。コミカルな展開と水曜どうでしょうのイメージの相乗効果で、序盤中盤は凄く楽しめた。

 そこから徐々にツイストしていくのが本作。ハードボイルド気取りの探偵が、本当にハードボイルドになっていく様は、それはそれで良いのだが、いまいち私にはピタリと来なかった。コミカルに描かれていたヤクザたちとの物語がいきなりシリアスに描かれても、何かちょっと違うなと言う印象しか抱けなかった。私は、コミカルからシリアスへのギアチェンジがうまくいかず、物語の途中でエンストを起こしてしまったようだ。

 ヤクザが主題でないからこそ当たり前なのだが、そもそもヤクザ役の迫力がいわゆるヤクザものの映画とは違った。直近に見たヤクザものが、仁義なき戦いソナチネだったのが全ての元凶だったのだろう。笑っているはずなのに目の奥底にドス黒いものと殺意が容易に見て取れるソナチネでの北野武さんの怪演等々と比較してしまうと、どうしても拍子抜けしてしまう。これらの作品にあった自分では全く理解することのできない異質の恐怖。圧倒的暴力。それらは、本作にはなかったものだと思う。だからこそ、加藤が殺されたシーンでも、今一つ戦慄を感じることができなかった。さっきまで漫画雑誌を掲げてたのにいきなり死んでるなーと思って終わりだった。そして、そういうヤクザたちの恐ろしさがなかったからこそ、沙織が復讐を果たすために自らを犠牲にするというクライマックスさえも、そこまで心に響かなかった。

 そういう意味で、自分は本作を見ながらシリアス方向には振り切れなかったし、当初期待していたコミカル路線でも楽しみ続けることはできなかったということで、そこまで自分には合わない作品だったなと思う。面白いは面白いけれど、そこまでハマらなかった作品だった。