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映画「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」感想:孤独

作品情報

監督:デヴィッド・イェーツ

評価

☆☆☆(最高評価は☆5つ)

※以下は作品のネタバレを含むので、注意してください。

ネタバレ感想

ファンタスティック・ビーストの3作目である本作は、これまでのファンタビシリーズと同じく、とにかく魔法動物がかわいい作品でした。ニュートの相棒であるボウトラックルとニフラーがかわいいのはもちろん、ニュートとテセウスを襲ったサソリみたいなマンティコアも、恐ろしいはずなのにユーモラスで可愛かったです(特に、ニュートとテセウスがマンティコアに擬態するシーンは笑わずにはいられませんでした。)。また、キリンが登場し、物語の中でも重要な役割を果たしていましたね。まさに、ファンタスティックなビーストたちの活躍が見れて嬉しかったです。

ただ、今作で何よりも心に響いたのは、やはりダンブルドアを取り巻くストーリーでした。私は、ハリーポッターシリーズにおいて、ダンブルドアは穏やかで達観している偉大なる魔法使いという印象を抱いていました。それが本作では、孤独に苛まれる一人の人間として描かれていたように思います。

余りに才能に溢れる魔法使いであったダンブルドア。彼と対等に話すことのできる人物がほとんどいなかったであろうことは、容易に想像できます。実際、天才ゆえに孤独に陥るという話は、世の中に枚挙にいとまがありません。ダンブルドアが、そんな中で出会った稀代の魔法使いグリンデルバルドに恋に落ちたというのも、納得のいく話であるように思います。グリンデルバルドは、間違いなくダンブルドアの孤独を癒してくれるような存在だったのだろうと思います。

しかしながら、本作において血の誓いが破られ、ダンブルドアとグリンデルバルドの対立は決定的になったように思います。かつての恋人と命を奪い合う関係になることの苦痛は、形容し難いものがあるでしょう。それでも、正しいことであるからという理由で進み続けるダンブルドアは、間違いなく偉大な魔法使いです。しかし、ダンブルドアは、グリンデルバルドと敵対することによって、グリンデルバルドと同等の誰かを得られたという訳でもありませんし、ダンブルドアの孤独はより一層深まったのではないかと推察されます。

ダンブルドアの孤独が良く現れていたのが、とても印象的なラストシーンでした。ジェイコブとクイニーとの結婚式を訪れたダンブルドア。彼らを祝うために店を訪れたダンブルドアですが、結局は楽しそうな面々を通りから眺めた後で、雪の降る道をひとり静かに去っていきます。ダンブルドアは、あの幸せの輪に入れるような人間ではないと判断して去っていったのかもしれません。

グリンデルバルドとの戦いの苦痛は大きく、戦えば戦うほどダンブルドアがどんどん不幸になっていくような、そんな悪い予感がしてなりません。ファンタスティックビーストシリーズは、全5作品とのことですが、今後、グリンデルバルドとの戦いの中でさらに傷つくであろうダンブルドアの人生が、少しでも安らかなものであることを祈らずにはいられませんでした。

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