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西尾維新「掟上今日子の備忘録」

作品情報

掟上今日子の備忘録 (講談社文庫)

掟上今日子の備忘録 (講談社文庫)

評価

☆☆(最高評価は☆5つ)

※以下は作品のネタバレを含むので、注意してください。

ネタバレ感想

 本作は、しっかりしたミステリーだと思って読んだ作品だったので、どこか肩透かしを食らったような気がしました。1日で事件を解かなければならない探偵という設定は、今まで読んだ他の探偵とは違って面白かったのですが、肝心の謎自体がミステリーっぽくなかったなと。

 まあ、第一話の「初めまして、今日子さん」の時点で、ハッタリで事件を解決したところから、通常のミステリーと違う作品であるという事は気づくべきだったのですが。また、一話に関して言えば、あれだけの手がかりからSDカードの中のデータを消去して復元させるというトリックは導けなかったように思えます。

 第二話の「紹介します、今日子さん」の謎は、意外性に満ちたものでそれ自体は面白かったですが、それはミステリーとしての面白さとはちょっと違うような気がしました。通し番号をIDに使う発想は面白くても、ミステリー小説の一話で長々と論じるに足りる謎かというと......

 第三話の「お暇ですか、今日子さん」については、若干ジェネレーションギャップを感じた作品でした。カセットテープの扱いに習熟した年代の方ならまだしも、カセットテープに触れる機会がそこまで多くなかった自分にとって、カセットテープに小説のデータを保存する事ができるという知識が前提の謎については、正直知らんがなという感想しか湧きませんでした。

 第四話、第五話については、もはやこれはミステリーなのかと疑いたくなるような内容でした。例えば、ミステリーの有名なルールであるノックスの十戒ヴァン・ダインの二十則では以下のような記載があります。

探偵は読者に提示していない手がかりによって解決してはならない
ノックスの十戒 - Wikipedia

事件の謎を解く手がかりは、全て明白に記述されていなくてはならない。
ヴァン・ダインの二十則 - Wikipedia

 本件の謎で、ノンシリーズ・シリーズが2月に登場する事自体は良いです。しかしながら、そこに同一の脇役がいた事実は読者が知りようもなかったのですから、その脇役の最後を書くために作家は自殺などするわけがないというような推理を読者がする事は不可能です。それから考えると、このお話はミステリーの皮を被った何かに過ぎないと感じました。ミステリーを読みながら自分で推理をして、時にはその推理と一致し、時には導き出し得た鮮やかな推理を読むのが好きな自分にとっては、この部分は致命的でした。

 だからこそ、いくらキャラクターが魅力であるにせよ、このような謎を出すような本作のシリーズの続編を読む事はないかなと思った作品でした。